ロシナンテという馬をみました
蹄(ひづめ)のうらが
トルコ石のように碧(あお)いのです
私の領地の はずれに近い池のほとりで
ときどき水を飲みにくるらしいのです

眸(ひとみ)も ラ・マンチャの空の色です
一瞬やさしく私を見透かし
彼の騎手(のりて)でないと知ると
すげないそぶりで水を飲み
悠々と立ち去るのです

実際私は
荒野を吹き渡る風の碧さを知りません
いつも乏しい館の裏庭をさまよい
パセリだの セージだの
たまにはマリ・ゴールドだのを摘み
笛吹きケトルのわめきのきこえる
わずかな距離を散歩するだけです
それでもときたま
思いきって遠くまで出かけます
すると 池のほとりに
ロシナンテがいるのです

一度だけ
乗ってみたいと思いました
純白の小鳩たちがいっせいに羽ばたいて
ざわめくたてがみは
火と 土と 風のにおいでした
死にかけていたあのひとに
さよならと言ってきたかったのです
ああ けれど私は
彼の騎手ではありません

ロシナンテの去ったあとは
蹄のあとも 碧いのです



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5月23日

ボリジ

ムラサキ科ボラゴ属 1年草
原産地 シリア、地中海沿岸
花期間 4月〜7月
別名  ルリチシャ
お馴染みのハーブ。葉や若茎はキュウリのような香りがあり、野菜としてテンプラなどにして食べられます。滋養強壮に良く、喉の咳や気管支炎に効くそうです。 鮮やかなブルーの花を飲み物に浮かべてハーブテイーにできます。青い花に赤い花がときどき混じっています。全株が白い花の種類もあります。

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ロシナンテという馬     星野きよえ

西宮緑化植物園にて

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ロシナンテ・・・ラ・マンチャの騎士ドン・キホーテの愛馬

真の勇気というものは、
極度の臆病と向こう見ずの
中間にある。

   
セルバンテス(「ドン・キホーテ」より)