大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人と思わなくなったとき
堕落が始まるのね  堕ちてゆくのを
隠そうとしても かくせなくなった人を何人も見ました

私ははどきんとし
そして深く悟りました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶  醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇  柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている  きっと……

わたくしもかってのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです



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汲 む     茨木のり子

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2月22

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ヒュウガミズキ(日向水木)

トサミズキ(土佐水木)

マンサク科トサミズキ属  落葉低木
原産地 高知県
花期間 3月〜4月
早春を彩る花木で、ロウバイやマンサクに続いて咲きます。この花が咲くと庭や林の中に灯りが点ったように明るくなります。上記のヒュウガミズキよりも全体に大振りで花も一つの花序に7〜8個と多くつけます。なおミズキ科のアメリカハナミズキとは全く違う種です。

マンサク科トサミズキ属 落葉低木
原産地  近畿北部〜北陸の山地
花期間 3月〜4月
別名 伊予ミズキ
同属のトサミズキに比べて細く小さく、花序につく花数も2〜3個でトサミズキに比べると多くありません。育てやすいため庭木として良く植えられています。なお、名前が日向ミズキとか伊予ミズキとか呼ばれていますが、宮崎県や四国が原産地ではありません。


  俺の一番いたいところを突きながら
  冬富士のやうな表情をする

                    岡井 隆

奇跡の星の植物館にて(2月21日)

奇跡の星の植物館にて(2月21日)